2018.05.04 恐山

三浦哲郎の短編集「愁月記」に収められている「海峡」は、
青函連絡船から投身自殺を図った姉を思いながら
「わたし」が下北半島を旅する話です。
潮の流れの速いこの海峡では、難破する船も多く
亡骸が流れ着く場所には慰霊碑があるのだそうです。
そこに姉もまたたどり着いているのではないか
そんな思いから、「わたし」は
人づてに聞いた慰霊碑を尻屋岬で探します。
その後に、恐山を訪ねるのでした。
おととし青森旅行をしたときに、下北半島も巡ってきたので、
読みながら風景をありありと
思い浮かべることができました。
恐山というのは、さぞや恐ろし気なところかと
思っていましたが、
日差しが強くて、暑かったせいか、
エメラルドグリーンの宇曽利湖が、
南国のビーチのようだと思うのでした。
カラフルな風車がカラカラ回り
白っぽい火山灰の土に、
硫黄の黄色が浮かびあがっています。
にぎやかに話している団体さんの方から
時々大きく笑い声が聞こえてくるし、
思っていたのとは違う明るい風景でした。
小説にも出てくるイタコの口寄せは順番待ちで、
1時間から2時間の余裕を持って入らないとダメみたいでした。
温泉もあって、なんとも異世界に紛れ込みそうな
鬼太郎のお父さんがお湯につかっていそうな。
こちらも時間があればぜひ入ってみたかったです。
湖のほとりには、鐘があって時折澄んだ音を響かせていました。
東日本大震災で亡くなった方の鎮魂のために
建てられたそうです。

関連記事 in my blog: 仏ヶ浦 飢餓海峡の舞台
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