2015.06.28 橘 小夢:幻の画家 謎の生涯を解く

橘小夢: 幻の画家 謎の生涯を解く (らんぷの本)
(河出書房新社 2015/3/27)
加藤 宏明/ 加藤 千鶴
先日、弥生美術館で「日本の妖美 橘小夢展」を見ました。
蝶あまた花の精あまた星かざし
舞いつれていぬ春の夜の夢
橘小夢の短歌です。展示されている絵が、
夜になると光りながら舞い飛び始める、そんな幻を見るようでした。
奇譚、怪談などの幻想的な物語の中の女性たちの色付の絵もさることながら、
大正時代に出版されていた「女学世界」、「LA FAMME 婦人」などなど
数々の雑誌に掲載されている白黒の絵も独特です。
「コマ絵」と呼ばれる、周囲の記事とは関連のない絵だそうですが、
何の気なしに雑誌の合間に開かれている不思議空間
そこに描かれている女性の姿に見とれてしまいます。
樋口一葉の「たけくらべ」の挿絵もありました。
つっぷして泣いているのか、
眠って夢を見ているのか、着物の模様があふれている画面。
その美登利の頭の上あたりに
小さく星のように描かれている水仙の造花、
樋口一葉の他の物語も、この人の挿絵で読んでみたかったなと
思ったりするのでした。
着物の柄が単なる柄以上に多くを物語るのは、
「花魁」という絵も同様で、こちらは色がある分もっと迫力があります。
蛇やタコやクラゲのような生き物が見えてくるような。
本の表紙になっている「水魔」という絵は
女性が河童の化身に見える、なんとも美しい絵ですが、
昭和9年に発禁になったそうです。
関連記事 in my blog: 泉鏡花記念館, ぼくらは少年探偵団,
船田玉樹展
よろしければポチっとお願いいたします。


にほんブログ村
- 関連記事
-
-
Review 2016 その1 2016/12/29
-
萬鐡五郎展 2017/08/17
-