2020.05.18 秘密の花園

「秘密の花園」は1982年本多劇場こけら落としで
上演された唐十郎の舞台です。
一度友と観たあとに、あまりにも心打たれ
どうしてももう一回観たくなり当日券を買って
通路に座って観た記憶があります。
闇を切り裂く蒸気機関車の警笛で始まるこの舞台。
児童文学の「秘密の花園」よりは
「銀河鉄道の夜」に近い世界のような気がしています。
日暮里駅の陸橋にたたずむ
サラリーマン、アキヨシ(柄本明)が
仕事帰りの丘に寝転がる
銀河鉄道の夜のジョバンニと似ているような。
大貫さん(清水紘治)と一葉(緑魔子)は
銀河鉄道で乗り合わせた鳥捕り、燈台看守
川でおぼれたカンパネルラ
海難事故にあった乗客たちのように
どこか正体不明です。
登場人物たちをつないでいるのは
遠い遠いところまで続く線路のような「思い」。
メーテルリンクの「青い鳥」出てくる
生まれる前の「青い子供たち」のように
「再びまた会う」と信じる思いです。
アキヨシの姉の双葉と「日暮里の女」の一葉
二人の女性はそっくりで
妄想とも現実とも判別できない「秘密の花園」に
アキヨシは迷いこみます。
2004年に発売されたDVDには
作者の唐十郎と扇田昭彦の対談も収録されています。
「80年代は『多幸症』『はしゃぐ』『ノイズ』の時代で、
「観客と向き合うことがきつかった」と唐十郎は語っています。
この「秘密の花園」には
草笛のように聞こえる遠くの警笛に耳をすます
ノイズにかき消される音に耳をすましている
そんなシーンもありました
あの坂は怖い坂だね。
いい気になってかけ上がっていったはいいものの
あっという間に陽が暮れる
そして降りようとするともう闇だ
児童文学の「秘密の花園」は
伝染病で大人たちがいなくなった家に
蛇と少女が取り残されている
失われた楽園のような状態からはじまるのでした。
2020年代が、
まさか感染症による都市封鎖からはじまるとは。
桜の花が咲くまえから閉まってしまったあちこちの劇場が
はればれと開場できる日が一日も早く来ますように。
関連記事 in my blog: 耳鳴りのうた, うたかたの城, 秘密の花園
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