2018.05.19 とんかつ 羅生門
短編集「みちづれ」には、
「とんかつ」という作品も収録されています。
青森から永平寺に入門する中学2年生の少年と
それに付き添う母、
別れの晩に宿が用意した「とんかつ」
再会の日にまた宿が用意した「とんかつ」
頼りなげに見えた少年が、短期間に成長している
脂っこいものをパクパク食べられる若い年頃
「この先食っていく」力をたくわえている姿
それを誇らしいような気持ちで眺める大人たちの
温かみのようなものが感じられる短編です。
話は違いますが、むかし神保町に
「羅生門」という、とんかつ屋さんがありました。
その店の界隈だけ白黒映画になっているような気がしたものです。
そして、すぐお隣の小川町に、
「庄太郎」というとんかつ屋さんがあって
わたしはこのお店が大好きでした。
生意気にも灰皿を要求した高校生に
「高校生はたばこなんて吸わないの」
とお店の人がかっこよく切り捨てている場に
遭遇したことがあります。
からっとあがった揚げ物もおいしかったし、
その叱責もからっとしていた。
そういえば、お米を残すとおじさんに怒られるという伝説の
「いもや」の天丼も神保町でした。
「いもやに行くからには、飯のこすべからず」
そんな掟を胸に、どんぶりがくる順番を待つお昼時
真っ白なのれんに気持ち良く風が吹いていたな
と懐かしく思い出したりします。

(とんかつ羅生門の看板 1991年ごろに撮った写真、オンマウスで「庄太郎」。
どちらももうこの場所にはないお店。どうしてもうちょっと正面から撮っていないかというと
当時はスマホなんてないし、インスタもないし、
お店の写真を撮るのが気恥ずかったのだろうと思います。)
関連記事 in my blog: 神田賛歌
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