2017.10.20 端島の光

(まるで油絵の抽象画のような建物の壁。オンマウスで、ズームアウト。)
先日、長崎に行き、軍艦島こと端島炭鉱跡を見てきました。
予報では波が2メートルというし、雨は降り始めたし
絶対無理だろう、と思っていたら、通常運航とのこと。
200人乗れるという船はあっという間にいっぱいになってしまいました。
船の名はブラックダイアモンド。
なんちゅうルパン三世みたいな・・・とのけぞりましたが、
よく考えたら石炭を意味していたのでした。
子供の頃、臨海工業地帯の団地に暮らしていたことがあります。
雨降りシーズンの、尋常ではない湿気や
建物の間を吹き抜ける悲鳴のような風の音。
晴れた日の日差しの強さ、海と空の青さには
似通ったものがある気がします。
だから船の向こうに近づいてきた風景は
廃墟というより、むしろ懐かしい風景でした。
上陸した時間は午後3時過ぎで、雨の合間に
うっすら陽が射す瞬間もありました。
斜陽とか廃墟ということばが「美しさ」を宿すのは、
かつてそこに「賑わい」があったからだとつくづく思いました。
へりくつみたいなことですが、
衰退するということは、繁栄したということなのだという。
下にアップしている本は、ずいぶん前に買ったものです。
島の地図とかつての写真と今の写真が並べられています。
その中で、印象的だったのは、
離島する子供がメッセージを残したふすまの写真でした。
「金魚とことりをおねがいします」
そこには金魚と小鳥の絵も描かれています。
1974年に閉山が決まる頃小学生だった誰か、
自分と同じ年代の誰かのねがい。
そして、あの頃を生きていた大人たちを懐かしく思います。
わたしの親と同じ年代の大人たちが、
まだ若くて、怖くて、元気だったころのことなど。

軍艦島 全景
(三才ブックス 2008/12/12)
オープロジェクト
関連記事 in my blog: 軍艦島 海上産業都市に住む
準備万端バルタン星人、阪本順二監督の「団地」
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