2014.11.30 ダレシラヌ国の「ガラスのくつ」
エレナ・ファージョンの「ガラスのくつ」の中で
エラ(シンデレラ)は「ダレシラヌ国」の王女ということになっていました。
英語のなんという言葉の訳なんだろう?
と思ってAmazonで原書を探すと、エレナ・ファージョンの本はほとんど古書ばかりです。
よく探せばあるのかもしれませんが、
ファージョンに限らず、アトリーや、エインズワースのような作家の本は
本国でも、ごく有名なタイトル以外は絶版になっています。
日本では現役の翻訳本も
版元品切れになったら、再版予定未定のまま
いずれ消えていってしまうのかもしれません。
わたしがはじめてファージョンの「ガラスのくつ」と「銀色のしぎ」を読んだのは
小学校の図書館でした。
今の岩波書店から出版されているものではなく
講談社から出ていた「国際アンデルセン大賞名作全集」の中に入っていたもの。
とても丁寧につくられた、今ではあまり見られないような立派な本です。
「ガラスのくつ」はE.H.シェパードの挿絵に、石井桃子訳なので、
岩波書店の本と内容は同じ。
「銀色のしぎ」の方は、挿絵も翻訳家もちがっていて、
阿部知二訳、瀬川康夫 絵です。
このブログをはじめてから、古書でこの本2冊を見つけました。
さほど高くはなかったので、即決。
かつて繰り返し図書館で借りた本が何十年もたって
「うちの本箱の本」になりました。
ゆめがむなしいことではない
「ダレシラヌ国」にいきたいか。
しあわせは とわにつづき
ねがいのかなう国にいきたいか
おろかでかしこい 道化よ 道化
「ダレシラヌ国」を王子にしめせ
「ガラスのくつ」のラストに歌われる歌です。
あらためて、いいなぁと思いながら読み終えました。
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2014.11.29 ガラスのくつ
ガラスのくつ (ファージョン作品集 7)
(岩波書店 1986/02/26)
エリナー・ファージョン
ファージョンの物語も、ディズニーと同じく
ミュージカルのようなリズミカルな展開になっていますが、
シンデレラストーリー、イコールサクセスストリーという感じより
受難と復活という昔話の普遍的テーマがもっと色濃くなっています。
シンデレラ(灰かぶり姫)というあだ名で呼ばれるエラ。
岩波書店の本の表紙は、
冬の森でお腹を空かした小鳥たちにエラが自分のパンをあげているところです。
エラは若い娘ですが、同じファージョンが書いた
「マーロンおばさん」と同じ優しさがあります。
ただ耐え忍んでいるだけじゃない、おちゃめで陽気なところもあります。
そしてこうした小さな生き物たちや、日々の労働をささえる道具たちの精が
雪や氷にとざされた冬のような苦境におかれた少女を助けます。
エラに魔法をかける妖精が現れるとき、まず
「チューイ、チューイ」と小鳥のさえずりが聞こえてくるのは、
鳥好きにはちょっとうれしいところ。
エラは木の枝のようなしなやかな生命力を持っています。
ラストは花がいっせいに咲き始める春のようです。
挿絵は「銀のシギ」や「たのしい川辺」と同じE.H.シェパード。
髪をポンパドールに結い上げているけれど、全然いけてないお姉さんたちの絵や
エラと仲良しの台所道具の仲間たちの絵が楽しいです。
関連記事in my blog: 銀のシギ, マーロンおばさん, ディズニーのシンデレラ
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2014.11.27 ディズニーのシンデレラ
シンデレラ (ディズニーゴールド絵本)
(講談社 2010/07/28)
森 はるな、斎藤 妙子 他
子供の頃よく読んだ絵本といえば、ディズニー、と思って
本屋さんで探してのけぞったことに、絵が違う。
「こ、これわたしの知ってるシンデレラじゃない。」
上の絵本のシンデレラはやや往年の面影がありますが、
「プリンセス シンデレラのしあわせないちにち」
という絵本になると、もうほとんど別人。
いまどきのディズニープリンセスたちと並んで違和感のないよう
メイクも変えました、てな感じなのかもしれません。
そんなで昔のシンデレラが懐かしくなって古い絵本を引っ張り出してきたついでに、
DVDも見たら、なんだかものすごく良いのでした。
ディズニーのシンデレラは、タフでガッツがあって、希望を捨てていない。
屋根裏部屋のお友達、ネズミや小鳥たちが力を合わせて
ドレスを縫い上げてくれるシーンは子供の頃大好きでした。
(すっかり忘れてましたが)
そして真夜中の鐘が鳴りだして、真っ赤な敷物が敷かれた階段に
落としたガラスの靴をふりかえるあのシーンは圧巻です。
1950年作だそうです。もう、ワンスアポンナタイムな大昔ですが、
ディズニーってあの頃のスティーブ・ジョブズみたいな人だったのかもと思うのでした。
*追記:ディズニースーパーゴールド絵本の表紙絵のシンデレラは
わたしの知っているシンデレラと違いましたが、
中は往年のシンデレラでした。
シンデレラ姫 ディズニー名作絵話
(講談社 1967)
文 飯沢 匡
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