2009.09.29 土のチカラ
同じく東京都現代美術館で、10月4日(日)までの
伊藤公象・秩序とカオスも見てきました。
展示されているのはメアリ・ブレアの世界とがらっと変わって
土を使った造形作品です。
入った瞬間はやや頭の中がくらくらしていましたが、
広い空間に、広がった「アルミナのエロス」と題された
雪景色の町を俯瞰するような作品や、
中庭を使って、展示されている「土の襞、踊る焼凍土」の
温度がそのまま残っているように感じられる作品
「JEWELの襞」という、瓦礫のようだけれどところどころ
オパール色に光る作品などなど、
見ているうちに、だんだん心が安らいで
解放されるような気持ちになってくるのでした。
庭に展示されている作品は雑草や虫たちとも共存しています。
カマキリが一匹、作品の中に紛れ込んでいました。
土をいろいろな方法でいろいろな姿に変えて構成された作品は、
人工的な世界であって、とても自然に感じられるのでした。
これだけの大作をこんなにたくさん、広い空間で
見ることができる機会に恵まれたのは幸運でした。

(マウスをのせると、中庭の別の作品の画像が見えます)
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2009.09.28 メアリ・ブレア展

東京都現代美術館へメアリー・ブレア展を見に行ってきました。
ともかく・・・混んでました。
見終わって出てきたときには、チケット購入20分待ちの表示が出ているほど。
会場内のグッズ売り場のレジに並ぶ列もすごくて、
渡り廊下の方まで、ずらっと続いていました。
あきらめて、外に出たら、絵葉書やカタログなど
ミュージアムショップで売っているものもありました。
「果たしてこの世に、
『ものすごい混雑の中で見ると、よりいっそういいよ』
というような絵があるのだろうか!いや、ない!」
・・・などと言っていても仕方ないので
一生懸命、背伸びしたり首をのばしたりしながら、見てきました。
いちばん見たかったのは、やはりディズニー映画のコンセプト・アート
「ふしぎの国のアリス」「シンデレラ」「ピーター・パン」の原画。
お城の広間のとてつもない大きさを感じさせる
シンデレラの原画の遠近感が面白いなと思いました。
アリスでは、三月うさぎと帽子屋のお茶会のテーブルに
ずらっと並んだ、カップやポットは今にも踊りだしそう。
他に、「ファンタジア」の続編になるべく用意されていたという
赤ん坊たちのバレエの絵が面白かったです。
あと一週間、10月5日(月)までです。
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2009.09.27 ラフレシア

文楽のテンペストの主人公は阿蘇左衛門、
筑紫大領と弟の謀略により、娘の美登里と島に流されてしまいます。
九州からさらに南の島は、亜熱帯らしく
背景には、ピンクの花が咲き乱れていました。
そして、ラフレシアの赤い花の絵も!
先日、大阪の「咲くやこの花館」で
見てきたばっかりの「世界で一番大きい花」。
・・・と言っても、見て来たのは標本で、やや恐ろしげな色合いをしていました。

(昔の図鑑の中のラフレシア、オンマウスでラフレシアの標本)
「咲くやこの花館」は熱帯植物好きなら是非一度・・と思う、
おすすめの植物園です。
わたしが行ったときは、夏休み真っ只中だったので、
食虫植物が虫を捕まえるところを実際に見せてくれるイベントがありました。
雨に流されやすく養分の補給が難しい熱帯雨林だからこそ
こんな非常手段に出る植物が登場したそうです。
とはいえ、虫を食べると、植物はけっこうぐったり疲れるのだとか。
深く考えずに納得して、その話を人にしたところ、
「じゃあ、食虫化しない他の植物はどうしてるの?」
と聞かれ・・うぅん、やっぱり科学的思考って、納得することより、
疑問をもつことにあるのかも・・と思ったのでした。
うつぼかずらの仲間で、ネズミすら食べるというサイズの大きいのもありました。
ここまでくるとさすがに「ほんとうに非常手段か?」という疑惑がふつふつと。
ともあれ熱帯雨林全体が食虫化したらえらいこっちゃですが、
将来的に、植物が人間を「非常手段」に選ぶ日が来るやも・・・
ラフレシアも寄生植物だそうで、なんとも熱帯植物は摩訶不思議。
この花の標本は上野の科博や、京都の植物園にもあるそうです。
ちょっと怪物風、アリスに出てきそうな花です。
こちらは、温室の緑の風景です。

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2009.09.24 テンペスト
妖精エアリエルならぬ「えり彦」が出てくる
文楽の「テンペスト」を見てきました。
シェークスピアの中では、「冬物語」と「テンペスト」が好きです
お先真っ暗の悲劇でもなく、陽気すぎる喜劇でもなく、
どちらかといえば笑えるけれど、かなしさもあります。
それでも、乗り越える・・という明るさに励まされます。
文楽用に書き直すのはとてもたいへんだったとパンフレットにありましたが、
すっとはいってきて、ストンと感動できました。
途中笑いが起きる場面もたくさんあって楽しかったです。
なんといっても文楽。
どんなお人形で出てくるのだろう・・とわくわくします。
その「えり彦」は羽衣をまとっている風情。
登場するときは太棹じゃなくて、琴の音でキラキラ感を演出してます。
う、空気の精ともいわれるエアリエルのイメージとは・・
ち、違う。でも、「えり彦」といわれれば、
「そ、そうね・・」と思えるかもです。
エーリエルはプロスペローに遊ばれているような、
頼りなさがありますが、
「えり彦」は・・・荘厳。正倉院にいそう。
パンフレットにもありました。
「妖精」というもっとも日本ぽくない存在が困るんだと。
「えっ、白鳥?ペリカン?」っという謎の鳥風な妖精も登場しました。
「飛ぶもの」をお人形で表現するというのは
やっぱり至難の業なんでしょうか。
一瞬かわいげがあるけど、
「やっぱりダメじゃん」なキャリバンは、納得の青鬼風でした。
(お人形を紹介している国立劇場のページはこちら)
太夫さんと三味線の人の裃が
アクアスキュータム風チェックに見えてしまったり、
なんだ、どうなってるんだ?という魔法にかかったような感覚が
舞台をはみ出して、
あちこちに影響を及ぼしているように思えてくるのも面白かったです。
ミランダは美登里に、ファーディナンドは春太郎・・?
この二人は国が変わろうが、名前が変わろうが、もう恋まっしぐらなので。
(何もいうことはない・・)
そして、ラスト。
一人スポットライトを浴びるプロスペローの姿に感動するのでした。
数年前、文楽にはまってましたが、また次も見てみたくなってます。
12月の東京公演では、八百屋お七が見られるそうです。

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