空飛ぶ色いろnatsuno07

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2017.07.23  闇のヘルペス 


hadazawari_.jpg
肌ざわり
(中公文庫 1983/5/10)
尾辻 克彦

1ヵ月近く痛みがつづいた帯状疱疹もようやくおさまってきました。
1週間目ぐらいには、銀色の糸みみずが肌の上にいるような
妙な感覚もありました。
それよりもずっと色のない、ちりちりとした痛みが
まだ時々走ってます。

帯状疱疹は英語で、Herpes zosterというそうで、
そういえば、尾辻克彦の「闇のヘルペス」
という短編があったなと読み返しました。

唇の横にできたヘルペスに紫色の薬を塗られた
ホラーのような形相で、
漏電を心配して天井裏を覗いている真夜中の話。
そこに子供の頃、天井裏の電気の配線コードを見て
蛇がいると思った記憶などが絡んできます。
そんな得体の知れない感覚に悩まされる夜、
「そうだね。関係って苦しいし、痛くなる。
関係って病気だね。黴菌だよ」

なんて知人と電話で話したりしています。

電気トラブルを気にするというのもわかる
電気刺激を感じているような痛み
痛みの違和感を
万華鏡の中に入れて、くるくると回しながら見ているような。

表紙は尾辻克彦と「本人」の間柄にある赤瀬川原平の絵で、
小さな胡桃子ちゃんの姿があります。
この病気を扱った小説の中で、
胡桃子ちゃんの存在は光です。
玉子のように眠っている姿、
元気に学校に出掛けて行く姿。

この小説は大学生の時に読みましたが、
ようやくわたしはこの
得体のしれない病気を現実に知ったのだと思うのでした。


関連記事 in my blog: 父が消えた

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2017.07.12  千の天使と読みたい本 2017年7月 


forum0705_.jpg
夜の東京駅近く。ガラスの飛行船みたいなフォーラムの明かりが見えます。

灼熱の真夏が始まりました。
6月はダウンしてしまって、あまり本も読めませんでしたが、
そうこうするうちに7月もあと半分くらいのところにきています。

6月に引き続き、長沢節の本、
萩尾望都の「ポーの一族・春の夢」
夢枕獏の安倍晴明シリーズの新刊
梨木香歩の「冬虫夏草」など、好きな作家の本が本屋さんに並んでいて
読みたいなと思っています。
読書じゃないけど、科博の深海展も興味ありです。
頭の透明な深海魚デメニギスとか、計り知れない。

6月は世間でもいろいろありました。
もろもろまとめて、なんでやねん、という感じの。
それでふいにすっかり忘れていた
昔の歌を思い出しました。
ユーミンが作った「世界の子供たち」というTV番組の主題歌。

空まで広がる草原で集めた野の花と
カードを結んだ伝書鳩
世界のどこかへ飛ばしたい
遥かな国の君の元に届いたなら
君のことばでうれしいよとつぶやいて
大人になっても壊れない 君の時計では今何時?


その時計、わたしも持っていた気がするんだけれど、
どこ行ったかな?

関連記事 in my blog: 千の天使と読みたい本 2017年7月

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2017.07.02  レミング 座・高円寺 


reming0_.jpg

寺山修司のレミングを観てきました。
このお芝居、
1983年に、寺山修司好きの人にチケットを取ってもらって
横浜教育文化ホールで観たことがあります。
寺山修司が亡くなった直後でした。
今は、横浜教育文化ホールも無くなってしまったそうです。
ストーリーはすっかり忘れていましたが、
一緒に行った人がダビングしてくれた
J.A.シーザーの音楽の入ったカセットは、
何度もくりかえし聞いていたので
話は忘れているのに、もう何度も見たように感じました。
このカセット、MDに録音し直したというのに、
いつの間にかMDデッキもなくなり、もう諦めてました。
今回CDを買うことができたので、また音が戻ってきました。

床下にいる「面倒くさい」母親や、
患者に話を合わせている看護婦
フィルムがはいっていないとわかっていて
カメラの前で演技をしてみせる女優
嘘と本当の壁が不確かなのに、
魅力的な女性たち。
一方、男たちはちょっと我慢強いというか、
自分を殺しているというか、誰が誰やらわからないというか。
そして、ラスト近くのダイ・インのような場面は
いまどき比喩とも思えない気持ちでした。

上野紀子の絵に出てきそうな帽子をかぶった女の子が
白兎を抱いていたり、
明かりのともった小さな家が並んでいたり
この間の身毒丸とはまたちがったメルヘンチックな世界でありながら、
グロテスクさもある、不思議な魅力の舞台でした。

reming1_.jpg
(1983年のパンフレットは、合田佐和子の絵)

関連記事 in my blog:  身毒丸

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2017.06.30  ぎん色いろ色ーブンブンTokyo Girl 


tokyobun1_.jpg
(換羽もあと少し。つやつやしてきました)

羽軸でとげとげしていた文鳥はきれいになってきました。
が、飼い主は先週、帯状疱疹にやられまして。
悪魔的な痛みにのたうつ数日。
3日目が最強で、横になっても眠れず。
痛いよ痛いよと唸っていても仕方ないし、
気を紛らわすために音楽など聞いておりました。

最初に出てきたのがPafumeのTokyo Girl。
東京タラレバ娘の主題歌です。
若いときには
泣いたり、悔しがったり、野心を抱いたり、優柔不断だったり
そんな「痛い」ことがいっぱいあったけど、
喉元過ぎれば懐かしい。
ああ、この今の疼きもいつかは笑い話、のはず。

情報をかき分ける熱帯魚
平凡を許してくれない水槽で
どんな風に気持ち良く泳げたら


それを聞いていたら
くるりのデビュー曲「東京」を聞きたくなりました。
20世紀が終わるころ聞いた歌です。
又吉直樹がささえられた歌だとか。

君と上手く話せるかな
まぁいいか
でもすごくつらくなるんだろうな


この歌の中の人もつらそうですが、
よく休んだらきっと良くなるでしょう
と言っています。

東京といやぁ「東京はみなし児」って
ものすごい昭和なタイトルの歌もあったな。
カルメンマキの歌です。
マイナー進行なのに、歌詞は前向き。

思い出の時計をとめて
明日を好きになろう


そして東京といやぁ、盆踊りの定番ソング。
東京音頭。戦前1933年の歌だとか。
思えば戦時中も帯状疱疹になった人はいるだろう。
大変だったろうな。
江戸時代にもなった人はいる。室町時代だって。
ああ、やっぱり悪魔的な痛みにのたうったのかしら。
花の都の 花の都の真中で
ヤットナ ソレ ヨイヨイヨイ

なんでこうなる。
もっともこんな曲はiPodに入ってませんけど。

踊れBoom Boom TOKYO GIRL
大人の階段くだる帯状疱疹。
最近疲れやすいとお感じの方、ほんとご用心です。

tokyobun2_.jpg
(小鳥だって、たいへん。換羽は、だるいです)


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2017.06.18  ムットーニ・パラダイス 


mutoni_.jpg

世田谷文学館で開催されているムットーニ・パラダイス、
始まってすぐ急いで見に行きましたが、
きのうまた行ってきました。
まだ展示されていなかった、
新作のヘル・パラダイスが見られるというし、
きのう発売になった、限定500枚のDVD Vol.2に、
村上春樹の「眠り」が入っているというし、
ちょっと行ってくる、
はずが、はまり込んで帰ってきたときには西日が射してました。

土曜日ということで、大変な混雑、
まずはヘル・パラダイスの前で、
じっと始まるのを待ちました。
おどろおどろしい墓場の棺桶から出てきたのは
セクシーなドラキュラ風歌姫。
それを骸骨のバンドマンが盛り上げます。
なんてまぁ、パラダイスなヘル、でした。

しばらくあちこち見て、
またヘルパラダイスのところに戻ってくると
台にのぼって点検する人の姿が。
なんと、ムットーニさんでした。
それもそのはず、何も知らずにやってきましたが、
土曜日は、作家本人のギャラリーツアーがあって、
口上も一緒に聴くことができるのでした。
えらい混みようでしたが、絶対聞きたい。
口上がつくとまたいっそう不思議な感じで、
どこともしれないミュージックホールや劇場に
いざなわれるようでした。

この前来たときは、さらっとしか見なかった
「アトラスの回想」もじっくり見てきました。
中原中也の「地獄の天使」という難解な詩の世界です。
われは世界の壊滅を願ふ
なんて物騒なことばが聴こえてきたりします。
やがて、地球が二つに割れ昼と夜の地平が見えます。
そして、木箱とレトルトを手に持った天使が現れます。
なんのこっちゃなんですが、ものすごく美しい。
そんな美しい天使を内包した地球という星を
一瞬空に投げ上げたアトラスは、またずっしりと担ぎあげるのでした。

他にも、もう何度でも見たい作品ばかりで大変でした。
6月25日(日)までです。

関連記事 in my blog: ムットーニのからくり劇場

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2017.06.16  ベルナール・ビュフェ 1950 


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(文鳥の目力。ひきつづき換羽中。)

「セツ学校と不良少年少女たち」の中に
女ビュフェとか、お岩とか呼ばれている
岩崎トヨコという人がちょっとだけ登場します。
絵の線がビュフェに似ていたそうです。

ビュフェといえば、昨年見に行った
「ポンピドゥー・センター傑作展」で久しぶりに作品を見て、
以前はかなりポピュラーだったのに、すっかり忘れていたことに
ものすごく驚いた記憶があります。
なんでこんなに記憶から抜けてしまっていたのだろうと。

わたしの記憶の中で、ビュフェといえば、
フランソワーズ・サガンです。
新潮文庫の表紙はすべてビュフェ、
背表紙がピンク色の朝吹登水子訳。
絶版になって久しいですが、
以前はどこの本屋さんでも数冊は棚差されていた文庫本です。
それを見かけなくなったことにも
実は気づいていなかったりしたほどでした。

ある微笑
一年ののち
すばらしい雲
冷たい水の中の小さな太陽
スェーデンの城

内容はすっかり忘れているのに、
並べると詩のようなタイトルと
文庫本の装丁は印象に残っています。

処女作の「悲しみよこんにちわ」は1954年の作品だそうで、
長沢節が高円寺の「サロン・ド・シャポー」で、
セツ・モードセミナーの前身となるスタイル画の教室を
開いたのが、やはり1954年とのこと。
歴史の教科書の中で知っている断片の背景には
実際に人々が生きた時代があって、
そこには「流行」という言葉に訳すとちょっと違う感じのする
「モード」があったのだなと思うのでした。
ポールエリュアールの「直接の生命」という詩から取ったという
「悲しみよこんにちわ」
この詩の「悲しみ」の部分を「モード」に変えると
また違ったニュアンスになって面白いな、
などと考えたりしていました。

kanakon.jpg
(換羽前にデジカメしたので、こちらはつやつや文鳥。)


関連記事 in my blog: ポンピドゥー・センター傑作展

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2017.06.14  セツ学校と不良少年少女たち 


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セツ学校と不良少年少女たち
(じゃこめてい出版 1985/1/12)
三宅 菊子

先日、弥生美術館で長沢節のスタイル画を見てから
探し出して読みました。

三宅菊子は芸能記事のライターもしていたそうで、
まさにそんな感じに、「セツモード」大絶賛。
ただただファンでしかないという。

そういえば、弥生美術館では、
節がクロッキーをしている映像を流していました。
その筆運びは、驚くほど慎重で丁寧なものでした。
絵を描くときの姿勢と、画板の位置について
書かれている箇所がありましたが、
まさにそういう「まっすぐ」さと「妥協のなさ」
そこから、何十年たっても古さを感じさせない
風をまとったように生き生きした
人物の絵が生みだされたのだろうと思います。

この本が出版された1985年は、
平野ノラがギャグで着ているボディコンやニュートラの時代、
一方、ハウスマヌカンとか、メゾンとか言って
やたら入りにくい店もたくさんあったような気もします。
60年代、70年代の若者と比べ
「今の若者ってどうなのよ?」
てな疑問を80年代の若者に投げかけていたのかもしれません。
でも、それももうお笑いのネタになるくらい古いお話です。

関連記事 in my blog: ぎん色いろ色ー文鳥スタイル

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