2017.09.01 故郷ー失いたくない風景
(オンマウスで裏表紙、とてもきれいな写真です。)
故郷ー私の徳山村写真日記
(じゃこめてい出版 1983/9/28)
増山たづ子
旅行から帰ってきて、確かどこかにあったはずと
本棚をさがしたのがこの一冊でした。
アニメの「君の名は。」で思い出した30年以上も前の写真集です。
ダムに沈む故郷を「ぴっかりコニカ」で撮って回ったという
素人写真家の写真集。
30年前に母が買った本で、当時母はとても感動して
わたしにも見せてくれたのでした。
30年前には、「ふうん」程度の思いで見たという記憶があります。
今になって母が何故そんなに感動したのか
ようやくわかるような気がします。
増山たづ子さんは、岐阜県の徳山村で生まれ徳山村で育ち
同じ村出身の青年と結婚しました。
「君の名は。」のテッシーとさやかみたいに。
たづ子さんの夫は、
インパール作戦で出征の際に行方不明となりました。
夫が帰ってきたときに、村がダムに沈んだとは言えないと
最初は反対もしたとか。
けれどもやがて、村に生きる人々の写真を撮りはじめたそうです。
夫の帰りを待ち続けながら、
せめて生まれ故郷の風景を写真に残しておこうと思う優しさと悲しさ。
村の景色を背景に人々の笑顔のなんて素敵なことか。
本が出版された年には66歳だった増山たづ子さんはもう亡くなっています。
戦争もダムも、大きなお国のまえには大河に
蟻がさからうようなものだと思って諦めました。
あとがきにある、たづ子さんの言葉です。
詩人の石垣りんも言葉を寄せています。
時の流れにけっころがされながら懸命に生きて来た者が、
どたんばでこちらを振り返った目のようでもあります。
戦争を経験したことのある世代が
どんどん亡くなっていく中、わたし自身の親たちを含めて、
懸命に守りたいと願った平和というものを
見失いたくないと思う今日この頃です。
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