空飛ぶ色いろnatsuno07

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2017.03.05  おりえんたる・ぱらだいす 


Oriental Pradaise_
おりえんたる・ぱらだいす
(文藝春秋 1971/4/20)
三浦 哲郎 著 (装幀 河内 正之)

おりえんたる・ぱらだいすは1945年の敗戦を迎えた日本、
地名は蜂ヶ谷市となっていますが、
おそらくは八戸市を舞台にした物語です。
八戸といえば、大きな漁港に響くウミネコの声のイメージでしたが、
実際行ってみると、三沢に近く
当時は、米軍兵士が多く訪れた町だったようです。

物語は二部に分かれていて、
一部が「おりえんたる・ぱらだいす」
二部が「おふぇりあ昇天」
それぞれが独立した短編小説で、登場する人物は同じです。
一部では、終戦直後の蜂ヶ谷市の赤十字病院に
産婦人科研修医として派遣された青年の
とまどいと、その病院の世話にならざるを得ない人々の生き様が描かれます。
「パンパン」という言葉の意味がわからない研修医に、
「それぐらい知っていてください」と不機嫌に言う看護師。
予防したり、検査したり、治療したり、延々と続く医療行為。
その向こうに、娼婦にならざるを得なかった戦災孤児の少女
特攻隊の生き残りとして酷いうつ症状に苦しむ兵士
強姦や略奪、偏見や蔑み、
相変わらず暴力に支配された日常があります。
混乱のさなかの人々のスナップショットを
次々に掲示板に張り出していくようなそんな描かれ方をしています。

二部は、米軍相手の娼館を営む女の物語です。
火事で焼ける娼館を前に
「空襲、空襲、退避、退避」とつぶやいていた娼婦が
突如「お母さん」と叫んで火に飛び込んでいくラストなどは
作り過ぎかというという気もちょっとしましたが、
戦災孤児の多くが、空爆で親とはぐれた子供たちであり、
親が火に巻かれたのを目撃したというトラウマをもつ子供であり
今もなお、こういう子供たちがいることを考えれば
もっと現実は壮絶でしょう。

この小説は三浦哲郎が「ユタと不思議な仲間たち」を書いたのと同じ
1971年に出版されています。
ユタは1971年の小学生ですが、
1945年には著者の三浦哲郎の方が小学生でした。

関連記事 in my blog: 八戸の三浦哲郎文学碑, ユタと不思議な仲間たち, ドールズタウン

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