空飛ぶ色いろnatsuno07

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2015.09.25  鎌倉からはじまった 初秋 


神奈川県立近代美術館鎌倉
(マウスをのせると、向こう側の看板が見えます。)

来年の1月に神奈川県立近代美術館の鎌倉館が閉館となるということで、
このシルバーウィークは鎌倉に出かけました。
最近の鎌倉はいつ行っても混んでいるし、
ましてや連休中、とかなりひるんでいたんですが、
若宮大路や小町通りの喧騒がうそのように、ここには静けさがありました。
しかも池のそばに建つ鎌倉館は、なんといっても晴天の日が美しいのです。
かつて父や、母と訪れた美術館、
ここにくれば、元気だったころの親の姿を思い出せる。
なんていうとあの頃の親たちは笑うと思いますが。

1966年から1984年が今回のパートIIの世界。
この時期に美術館で催された展覧会から絵が出展されています。
ちょうど、親にくっついて美術館に行った頃にあたり、
大変な盛況だったいう1970年の「ムンク展」のカタログは、
たしか家の本箱にもありました。
高橋由一の「江の島」は、ここ鎌倉で見ると臨場感があります。
脇田和の「慈鳥」、熊谷守一の「さんけい鳥」、小出楢重の「乙女椿とレモン」など
いつまでも見ていたくなる絵の数々。
岸田劉生の麗子像2点も、スゴイです。
これは、またあとで書きたいことですが、
今回特に惹かれたのが佐藤敬の「少年像」でした。
臙脂のベレー帽にストライプのシャツを着た少年が猫を抱きあげている絵です。

美術館のカフェでは、蓮池を眺めながらランチをしました。
しみじみ眺めると、たしかにもう建物はずいぶんと古い
でも、この美術館は
井の頭公園の熱帯鳥温室と同じくらい忘れがたい場所です。
パートIII 1951-1965が10月17日から。
閉館までに、最低でもあと2回は訪れたいのですが、どうせならパートIIをもう一度、
こんどは雨の時に行ってみようかと思っています。

関連記事 in my blog: 神奈川県立近代美術館 鎌倉館,  熱帯鳥温室,  
松田正平展 陽だまりの色と形

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2015.09.18  星の牧場 


hoshinomakiba.jpg
星の牧場 (理論社名作の森)
(1963年出版 新版 2003/10)
庄野 英二 作 長 新太 絵

戦争中、軍隊で馬の世話をしていた青年モミイチは、
負傷し、記憶を失っています。
それでも、かつて世話をしていた
ツキスミという軍馬のことは忘れてはいません。
子供の頃読んだときには、不気味な「おじさん」だったモミイチですが、
今読むと自分よりずっと若い青年として、
黙々と牧場仕事をしている姿が思い描かれます。
この物語はNHKの「少年ドラマシリーズ」で映像化されたため
ずいぶん話題になっていたし、
多くの大人たちが推薦する本でもありました。
でも、子供だったわたしは、この話がかなり苦手でした。
たとえ虹色の飲み物や、お花畑、たくさんの鈴の音、
そういうファンタジックなことが出てきたとしても、
幻想の中の馬と戯れる「おじさん」モミイチを怖いと感じていました。
それは何をどういおうと、戦争は怖いという
圧倒的な印象だったと思います。

大人になって「星の牧場」を読み返すと、怖さよりも悲しさが伝わってきます。
この夏読み返した時には、宮澤賢治の「風の又三郎」を思い出しました。
村の少年嘉助が逃げた馬を探して野原で方向を失ってしまう場面です。
そのとき、嘉助は焦りと孤独の中でガラスのマントにガラスの靴の
「風の又三郎」を見るのでした。
「星の牧場」のラストの幻想的な美しさも
またガラスのような透明感があります。
南国の島々ならではの甘やかな空気や、夜の美しさ、
子供のころには知らなかったそういう美しさを
重ね合わせて思い描けるようになると
ようやく、あの頃大人たちが何故感動していたのかわかるような気もします。

でも、やはり子供にとっては、
悲しみよりも強く心に来るのは「怖さ」だったのでしょう。
子供に怖い思いをさせたくない、
未来のある青年にこころを閉ざしてほしくない
美しい風景は、美しい風景としてそこにあってほしい
だけど、それを守っていける大人になれているのかどうか。

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