空飛ぶ色いろnatsuno07

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2017.08.20  幼年世界文学全集 ーフランダースの犬 


フランダースの犬
幼年世界文学全集9 小公子・フランダースの犬
(偕成社 1968/8/20)
川端 康成
(とてもオランダに思えていた挿絵。オンマウスで、本の表紙)

「フランダースの犬」の舞台はベルギーだったのだ!
と最近気づいて、
古い本を引っ張り出してきました。
奇想の系譜の画家といい、
なんと、私はベルギーのことを知らなかったことか。
先日見た展覧会にはルーベンスの絵も数点出ていました。
木靴をはいた少年と、風車の挿絵などから
てっきりオランダの話だと思い込んでいたのです。

偕成社の「幼年世界文学全集」
小公子とフランダースの犬の
二つの物語が収録されています。
どちらも少年を主人公としたお話で、
イギリスの児童文学作家による物語です。
むかしフランダースの犬の挿絵が好きで
真似して風車の絵を描いたりしたものです。

1975年にテレビアニメで
フランダースの犬が放映されましたが、
挿絵のネロをカッコイイと思っていたので、
まったく興味が持てませんでした。
挿絵画家は石田武雄、
他にも椋鳩十や、戸川幸雄など
動物ものの挿絵を多く手掛けている人です。
挿絵は全ページに載っています。

川端康成は、まえがきで
「あなたはどちらの少年が好きですか?」
と子供に問いかけています。
挿絵は(見た目は)だんぜんネロでしたが、
好きだったのは、小公子のセドリックです。
今となっては、この古びた本がとても懐かしく
取っておいて良かったなと思います。
監修には、川端康成、浜田庸介、村岡花子の名が連なっています。


フランダースの犬
(昭和なデザインの裏表紙、オンマウスで、昭和なデザインの目次。)


関連記事 in my blog: 秘密の花園 その2


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2015.09.18  星の牧場 


hoshinomakiba.jpg
星の牧場 (理論社名作の森)
(1963年出版 新版 2003/10)
庄野 英二 作 長 新太 絵

戦争中、軍隊で馬の世話をしていた青年モミイチは、
負傷し、記憶を失っています。
それでも、かつて世話をしていた
ツキスミという軍馬のことは忘れてはいません。
子供の頃読んだときには、不気味な「おじさん」だったモミイチですが、
今読むと自分よりずっと若い青年として、
黙々と牧場仕事をしている姿が思い描かれます。
この物語はNHKの「少年ドラマシリーズ」で映像化されたため
ずいぶん話題になっていたし、
多くの大人たちが推薦する本でもありました。
でも、子供だったわたしは、この話がかなり苦手でした。
たとえ虹色の飲み物や、お花畑、たくさんの鈴の音、
そういうファンタジックなことが出てきたとしても、
幻想の中の馬と戯れる「おじさん」モミイチを怖いと感じていました。
それは何をどういおうと、戦争は怖いという
圧倒的な印象だったと思います。

大人になって「星の牧場」を読み返すと、怖さよりも悲しさが伝わってきます。
この夏読み返した時には、宮澤賢治の「風の又三郎」を思い出しました。
村の少年嘉助が逃げた馬を探して野原で方向を失ってしまう場面です。
そのとき、嘉助は焦りと孤独の中でガラスのマントにガラスの靴の
「風の又三郎」を見るのでした。
「星の牧場」のラストの幻想的な美しさも
またガラスのような透明感があります。
南国の島々ならではの甘やかな空気や、夜の美しさ、
子供のころには知らなかったそういう美しさを
重ね合わせて思い描けるようになると
ようやく、あの頃大人たちが何故感動していたのかわかるような気もします。

でも、やはり子供にとっては、
悲しみよりも強く心に来るのは「怖さ」だったのでしょう。
子供に怖い思いをさせたくない、
未来のある青年にこころを閉ざしてほしくない
美しい風景は、美しい風景としてそこにあってほしい
だけど、それを守っていける大人になれているのかどうか。

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2014.06.16  星の林に月の船  


hoshinoha.jpg
星の林に月の船 (岩波少年文庫)
(2005/06/16)
大岡 信編


引き出しの中を片付けていたら、古い新聞の切り抜きが出てきました。
「折々のうた」
2007年まで大岡信が朝日新聞に連載していたコラムです。

見ていたい花火を見上げる君だけを

この俳句は「17音の青春2004」に所収されている
高校生の俳句だそうです。
2004年から、10年の時が過ぎていて、
ニュースは、ほぼインターネットで見るようになった昨今
「新聞の切り抜き」が懐かしい。
大岡信が小中学生向けに詩歌を紹介している
少年文庫があったので挟んでおくことにしました。

天の海に 雲の波立ち 月の船
星の林に 漕ぎ隠る見ゆ
(万葉集 柿本人麻呂)


小学1年生が17歳の高校生になり、
17歳だった高校生が母親になる10年後。
2014年と2004年の間に流れた10年。
月の船がすべっていく天の時間はゆるやかなのか光速なのか?

片付けものをしながらついほかのことに気を取られて
考え事をはじめてしまう自分にも
やれやれ10年の時が流れたんだなぁと思うのでした。

関連記事 in my blog: つきのふね

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2013.09.13  800番への旅  


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800番への旅 (岩波少年文庫)
(2005/08/26)
E.L. カニグズバーグ 作  小島 希里 訳

どんな人だって、ふりはしているものなのよ。
だれに対してもかならずときどきはふりをしているし、
相手によってはずっとふりをしづづけていることもあるのよ。


「クローディアの秘密」の、カニグスバーグの作品です。
この前読んだ、「13歳の沈黙」は今一つ良さがわからず、
これは、どんなかなぁと思いながら読み始めました。
アメリカの退屈な街を次から次へと旅するような
「なんでこんなつまらない話を・・」と思ったのですが、、
最後にきて「エクスクラメーションマーク」が
頭の上に浮かぶ感じでした。

サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」と似て
主人公がナイーブな横顔を見せて終わりになります。
笑えないような状況にあっての
「あえてのユーモア」「偽りと表裏一体の真実」
ラスト近くに主人公が知る
「あること」を通して、これまでの退屈なシーンが、
ふいに輝きはじめます。

関連記事 in my blog: 13際の沈黙,  ライ麦畑でつかまえて


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2013.09.05  誇らかなオンドリ 




「ハンス・フィッシャー 世界でももっとも美しい教科書」
真壁伍郎 著 (編集工房 くま)
先日、「こねこのぴっち 絵本原画展」を
教文館に見に行ったとき買った本で、
フィッシャーの挿絵が入ったスイスの小学生用教科書について
書かれています。

小学生のときに使った国語の教科書は、
中学や高校のときよりずっと「絵」が印象に残っていて、
つい最近も、そういえば「おそばのくきはなぜあかい」の初山滋の絵を
教科書でも見ていた記憶がある
と思い出したばかりでした。

ここで紹介されている教科書は、フィッシャーの挿絵と
誰でも知っているわらべ歌によって、リズミカルに
楽しくことばを学ぶことができるというものです。
「風だよ 風だよ 天からのこどもさ」だとか、
「かっこう かっこう と森でよぶ」というタイトルがついていて
何が書いてあるのかなと、とても気になります。
堀内誠一の絵がはいった、マザーグースの絵本と
ちょっとだけ似ているような気もします。

表紙になっている「誇らかなオンドリ」は、
この画像だと分かりにくいですが、きれいな羽とトサカと
そして、ちょぴりお茶目な目をしています。
鳥だってそれぞれ性格があるよ
ということをよく知っている人だな、なんて思うのです。

関連記事in my blog: こねこのぴっち 絵本原画展  
たなばた(こどものとも傑作集)  オレンジとレモン


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2013.04.06  箱船にのった鳥たち 


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箱船にのった鳥たち―ある野鳥病院の物語
(福音館文庫 ノンフィクション)

(2005/10/20)
キット・チャブ 著  黒沢 優子 訳

カナダで野鳥の保護にあたったキット・チャブという女性が
新聞や雑誌に書いたもの、
観察日誌に書いたものをまとめた本です。
挿画も著者によるもので、表紙はチョウゲンボウの雛です。

うちの文鳥などは、つくづく小さい鳥なのだ
と思うくらい、キット・チャブの保護する鳥は大物揃い。
タカ、ワシ、コンドル、ペリカン、シマフクロウ、などなど。
暴れて、嫌がるのをなんとか取り押さえて治療にあたる、
人を警戒していっさいの食べ物を拒絶するのを何とか食べさせる、
親鳥が教えるべきことを、教えるための工夫をする、
そして回復後、本来の場所に帰してやる、
などなど、すべてが大仕事です。
鳥と一口にいっても千差万別、
それぞれ、変わった特徴があって一筋縄ではいきません。
まるで、「病気の妖怪」相手に病院を開設しているようです。
でも、キット・チャブはこの面妖な生き物たちを愛してやまない
それが、ひしひしと伝わってきました。

ネットでさがしてみたところ、
1978年に創設された野鳥病院(Avian Ark)は
2006年に閉鎖されたということです。
キット・チャブは2012年に亡くなっています。

関連記事in my blog: 家族になったズスメのチュン


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2013.04.02  冒険者たち―ガンバと15ひきの仲間 


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冒険者たち―ガンバと15ひきの仲間 (岩波少年文庫 44)
(2000/06/16)
斎藤 惇夫 著 薮内 正幸 挿絵

本は、よおく見かけていましたが、
こんなに面白いお話だとは知りませんでした。

表紙の絵は、オオミズナギドリ、
主人公のガンバもいます。
小さなネズミのガンバ。
そして個性豊かな仲間たちが勇敢に立ち向かった敵は、イタチ。
イタチはネコ目だから、まさに「窮鼠、猫を噛む」お話。

さすがは、げっ歯類という戦いぶりもさることながら、
歌や踊りのプロパガンダでガンバたちを罠にかけようとする敵に
(ネズミの)詩人が、ダンサーが、オペラ歌手が、
学者が、ギャンブラーが、
自分の持つ最大限の力を使って抵抗してみせます。
そして、中でもひときわ際立つのが、
凡庸で愚鈍に見えるネズミ、ボーボの
かけがえのない存在感。

そういえば第二次世界大戦中の欧米を舞台にした
「愛と哀しみのボレロ」という古い映画で、
延々、ボレロを踊るシーンがあったなぁ
というようなことを思い出しました。

子供のころ、「冒険」という言葉のある題名に
「男子向け」と思って、読もうとしませんでした。
著者は児童書の編集者で、「宝島」の本を編集しているとき
この物語を思いついたとあとがきにありました。
そうか、「宝島」も「男子向け」と敬遠したけど、
読んでみるかな、なんて思っています。

関連記事 in my blog: グリックの冒険


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